今年の春・4月、桜満開の兵庫県の、芦屋川沿いの閑静な住宅街を歩きながら
桜の花びらの優雅に舞い散る様子を眺めつつ、谷崎潤一郎のある小説を思い出していました。
あれは『細雪』だったかしら・・・、
あの小説を読んでいた時に頭に思い描いた風景は、まさにこの街のイメージにぴったり・・・。
空気の温度やにおい、桜や松の木々のたたずまい方、たまに行き交う人々の歩調や、
流れるようにゆるやかに吹く風の速度やなにもかも・・・
まさに『細雪』・・・、
と思っていると、芦屋川の橋の側に立てられた、
「谷崎潤一郎記念館」という看板が目に飛び込んできました。
デジャブを見ているような不思議な感覚に陥りながら、私の足は
日本を代表する文豪の記念館まで道順を案内しているいくつかの看板を辿って行きました。
谷崎潤一郎記念館は、昭和9年から11年にかけて芦屋市に住んでいた
谷崎の住まいの跡に谷崎愛蔵の遺品などを納め、谷崎文学に親しむ拠点として
昭和63年に建設された記念館だそうです。
谷崎は、わたしの大好きな作家だったので、初めて訪れた芦屋の街で、
桜と細雪の舞台に出会ったことに感動を覚え、
美を追求しつづけた奔放な谷崎の生涯に触れ、記念館を後にした私が、
それから再び桜のアーチの下を心躍るように歩いて向かった先は・・・
同じ芦屋川沿いにある、フランスから一時帰国している知人の家でした。
「おひさしぶり!」と向かった仲のいい知人の家のサロンのリビングボードに
なにか、不思議なグループが、
見知らぬようで良く知っているような不思議な一団が
小瓶の中のアルミの袋に入ってこちらに向かって何やら訴えかけてくるのです。
久しぶりに会った知人への挨拶もそこそこに、不思議な一団にご挨拶にむかうと、
バラです!アプリコットです。矢車草です。オレンジです。バラの実です。
ハイビスカスです。桃です。ベルガモットです・・・
紅茶葉の中から、色とりどり舞い踊りながら、ご挨拶に顔を出して来てくれた
紅茶たちの一団でした。
その丁寧な挨拶をくれる香りの舞台芸術にクラクラしながら、わたしは
いつしかその一座に囲まれて暮らす生活をはじめることになったのです。
その紅茶座ご一行が繰り広げた世界と、その紅茶のまとう素晴らしい
天然の香りの秘密について、これからこっそりみなさまだけに、
お話ししていきたいと思います。
どうぞお楽しみに!! |