| 初めてビデオで見たオペラはヴェルディの『リゴレット』だった。パバロッティに少なくとも3回は笑った。グルヴェローバの歌声にうっとりし、記憶に留めた名はジャン=ピエール・ポネルだった。そう、リッカルド・シャイー指揮、タイトルロールはイングヴァール・ヴィクセルのあのオペラ映画。オペラなんて仰々しくて押しつけがましく、しかも少々カビ臭いモノだと思っていたから驚いた。なんだ、こんなに楽しいじゃない。雄弁な旋律に迫り来る男声合唱。悲劇と喜劇のアンビバレンス。狙い定めた悪趣味にニヤリ。もう一瞬たりとも気が抜けない。 |
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オペラ映画は面白い。劇場を飛び出したオペラって、なんて自由なんだろう。砂埃も草いきれもある。新たな生命を得たようで瑞々しい。
もちろん劇場録画版だって、臨場感や緊迫感、それに客席の反応まで伝わってきて楽しい。ただ、歌劇場への誘惑が潜んでいるのが困りもの。『リゴレット』の初演はフェニーチェ座。ヴェネツィアの至宝と呼ばれるこの歌劇場は残念なことに1996年に2度目の火災に遭った。それから8年、復旧工事をようやく終えて、この11月から本格的な活動を
再開するらしい。蘇った美の殿堂でいつか『リゴレット』を観てみたいと思う。 |
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それにしてもフェニーチェ(不死鳥)とは、因果な名前だな、と思わずにはいられない。オペラの中では(いや、現実でも?)乙女の命は短い。エリザベート、リュー、蝶々さん、そしてジルダ。タンホイザーは救済された。カラフ王はめでたくトゥーランドットと結ばれた。ピンカートンさえ自責の念を抱いたけれど、マントヴァ公ときたら我関せずで‘女心の歌’を呑気に歌っていたっけ。薄幸の乙女ジルダよ。 |
ところで、純真無垢なジルダには白い衣裳が似合う。
あらら偶然?ヴィクトル・ユゴーの原作では、彼女の名前はブランシュ(Blanche/白、清純)だとか。ならばオペラティーの『ジルダ』、白いティーカップで頂きましょうかね。 |
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